注文住宅と違い、建売住宅はすでに完成している住宅です。すでに耐震性は定めっているので、どれだけ耐震性があるかを見分けることが、災害に強い住宅を手に入れるポイントとなります。
耐震性の見分け方は、地盤と基礎、耐震壁の仕様と設置か所を的確に判断することです。素人でも可能な判断方法により災害からのリスクを減らすことができます。
耐震性能が高い家の構造について
耐震性が高い家は構造により異なります。建売住宅に多い2×4住宅は、建築後20年以内と限れば、高い耐震性を示します。鉄筋コンクリート造ではラーメン構造よりも壁式構造が強く、鉄骨造では軽量鉄骨造よりも重量鉄骨造が地震に対して強い構造です。
木造軸組工法は耐震壁を設けなければ地震に弱い構造です。基礎をべた基礎とし、耐震壁と補強金物を十分に設ければ、他の構造と変わらない強さが期待できます。木造軸組工法が真価を発揮するのが、建築後50年以上経過してからです。木造の柱と梁でつくられた構造は、年月が経過しても強度は衰えません。
耐震性能が高い新築建売物件を見分けるポイント
耐震性の高い建売住宅を見分けるには素人でもできる簡単な方法があります。住宅の構造は建築基準法により規定されていますが、建築基準法はあくまでも最低限度の基準に過ぎません。そこで保障されるのは、震度6程度の地震に対してだけで、それ以上の揺れの地震に対しては未知数です。
建築基準法の最低限の規定だけをクリアした建売住宅は災害に弱い住宅といえます。災害に強い建売住宅は、住宅性能表示制度による耐震等級3を取得している住宅です。同程度の基準を持つ、長期優良住宅の認定を受けている建物も災害に強い住宅といえます。
壁量計算書の確認ポイント
木造軸組工法や2×4工法で建てられた住宅には壁量計算書がつくられています。壁量計算書は建築基準法の規定を満たしているかどうかを判断するためのもので、2×4工法の場合は必要壁量に対して、十分に多い壁量が設置されているはずです。
木造軸組工法の壁量計算書では、必要壁量に対して、余裕のある量の耐震壁が設置されているかどうかが、良い建売住宅かどうかを見分けるポイントとなります。必要壁量の数値に対して、1.5倍以上の数値が確保されていれば、十分に耐震性のある住宅といえます。必要壁量を僅かしか超えていなければ、耐震性は弱いといえます。
まとめ
建売住宅の耐震性について理解が深まったでしょうか。建築の素人には、災害に遭いにくい丈夫な建売住宅を見分けることは通常困難です。しかし、住宅性能表示制度の耐震等級や長期優良住宅の認定を取得しているかどうかで、耐震性の高い住宅であるかどうかを判断出来ます。
戸建て住宅の売主が工事中の検査で第三者検査機関であるホームインスペクションを入れるのは、建売住宅に限ったことではなく、注文住宅でも行われています。本来、建築物の設計と施工は分離して発注され、設計者が工事監理を行うべきですが、住宅では設計と施工が同じ会社に発注されることが多く、現場の検査が甘くなりがちです。
注文戸建てや建売住宅の買主が、設計と施工が同じ組織で行われた物件を購入する場合は、第三者検査機関による検査が行われているかのチェックが必要です。その検査機関が第三者であるかどうかは、出資者に住宅の販売会社が入っているかどうかで判別できます。
建築中の住宅を見学する上で、どのように工事が進められるのかをあらかじめ理解しておく必要があります。見学に行ったが、「今何をしているのかさっぱり分からない。」では、行く意味がありません。
以前は建売住宅と言えば、完成してから売りに出すのが主流でしたが、最近では、未完成の建設中から見学できるようになりました。建設中の物件を見ると言う事は、買う側にとっては基礎工事などきちんと行われているかなどを目視できることによって不安が解消されるメリットがあります。そして売主にとっても、完成前に買手が見つかるという事もメリットになります。そしてもう一つ大切なことは、建売住宅は引き渡しまでは売主のものとなります。ですから、売主側との話し合いや打ち合わせをしっかりと行う事はとても大切と言えます。
建売住宅の標準仕様の範囲が事前にわかれば、戸建てのオプション工事をする必要も無くなります。実は、どこまでが標準でついているかは、ハウスメーカーや工務店によって異なります。坪単価が高いハウスメーカーや工務店の建売住宅の場合は、必要なものは全てオプションでついていますので、わざわざオプション工事をする必要もありません。
事前にオプション仕様か標準仕様かわからない時には、ハウスメーカーや工務店に聞いてもいいですが、売買契約の時にも図面から確認をすることができます。図面で確認する場合は、図面の見方を事前に学んでおくのがいいでしょう。図面を作成する場合と違い、読み取るのはそれほど難しいことではありません。
建売住宅を購入する場合は売買契約書が取り交わされます。契約に先立ち、販売者から重要事項の説明があるはずなので、その時点で詳細を確認することが大切です。重要事項説明では物件の引渡しや、代金の支払いに関する事項が、宅地建物取引士から説明されます。
建売住宅は買主が施工品質を直接確認することはできません。物件が施工時にどの機関から、そのような現場検査を受けたのかを確認する必要があります。住宅瑕疵担保保険の検査や、建築確認の完了検査を受けて合格したことを証明できる書類の提示を求める必要があります。
戸建て住宅を建築する前には、建築確認申請が必要で、確認が認められた年月日は、建築確認年月日として建築現場や広告等に掲載されます。建売住宅は建築確認年月日から建築がはじめられることが多く、経過時間が短い場合は工事の手抜きが疑われます。
宅建免許番号が古いほど、すなわち、数が少ないほど古くから営業している業者と言え、信頼できます。逆に、宅建免許番号が新しければ、新規に参入してきた業者と言え、一定の注意が必要です。長く営業してきた業者は消費者から一定の信頼を得てきたと判断でき、信頼の根拠となります。
戸建ては工期が短いからといって、必ずしも手抜きとは限りません。工事の期間に差がでるのは、主に構造躯体の工事に要する期間によります。建売住宅では在来木造住宅の4~5ヶ月間が標準です。基礎工事に1/3の期間、躯体の工事にも同じ期間が必要で、残りを仕上げに費やします。
建売住宅が安心できるかどうかは、素人では識別できません。専門家による住宅診断が必要となる所以です。建売住宅の販売会社では、工事期間に監理を第三者の検査機関に依頼している場合があります。専門家が検査を行うことで現場にも緊張感が漂い、施工ミスの発生し難い状況が出来上がります。
建売住宅で内覧をしたいならば、完成してからになるのが普通になります。最終チェックをして問題なければ、各不動産会社に連絡が行き、内覧をすることが許可されます。そういう意味では内覧会の機会はあると言えます。
内覧は、素人が見て把握できる部分とそうでない部分があります。素人が見て素敵な家だと感じるような造りでも、専門家が見るとやめたほうがいいという家もあるでしょう。例えば、傾きです。地盤の関係で家が傾くことがあります。時間が経過した家であればその傾向が現われます。特に、造成地の場合には、地面が重みでへこむこともあるので、その点は専門家が詳しいです。
戸建て住宅ではなくてはならないものに、換気扇があります。建売住宅でも24時間稼動する換気扇は設置義務がありますが、浴室やキッチンに24時間稼動する換気扇を設けた場合に、トイレなどの一部の換気扇が見落とされる場合があります。
建売住宅の場合、間取りは現地を見ればわかりますが、材料や設備機器の性能は見ただけではわからない場合があります。詳しい仕様がわかる図面が特記仕様書です。設計図面よりも細かで具体的な仕様が記載してあるので、購入前に見ておく必要があります。
戸建てのアフターサービスとしては、基本的には工務店やハウスメーカーによってその内容は異なります。保証という意味でのアフターサービスは、その耐用年数の範囲内でないと成立しません。例えば、電気製品で言うならば、20年も30年も保証しているところはありません。長くて5年ではないでしょうか。
戸建て住宅を購入する時は、すべて自己責任になります。安い建売住宅を購入しても、全くアフターサービスが付いていないところもありますし、定期点検も最初から有料の所もあります。中には、故障をしていないのに故障をしたことにして修理をし、そこから利益を吸い上げようとする悪質な業者がないわけでもありません。