耐震診断の内容は?具体的な診断方法について

住宅の耐震診断は、その住宅が持っている耐震性を診断するものです。診断方法は一般的な診断と精密な診断に分かれます。耐震診断は建物の弱点を未然に知ることで、災害時の被害を最小にするものです。

診断の結果、補強が必要な場合は、最善の方法に補強することで、補強しなかった場合に倒壊を免れない建物がそうならないで済みます。

基本的な診断方法について

一般的な耐震診断は、主に既存建物の設計図を元に耐震性を確かめる簡単な計算を行い、災害で大きな被害が出ない耐震性を持っているかどうかを確かめます。

具体的には、決められた計算方法で、その建物が地震で倒壊しないために必要な必要耐力を求め、実際にその建物が持っている保有耐力と比べて結果を検討するものです。

保有耐力を必要耐力で除した値が1.0以上であれば一応倒壊しないとされ、1.5以上であれば倒壊しない建物との診断を受けます。0.7~1.0の範囲内では倒壊の危険があるとされ、0.7未満の場合は倒壊の可能性が高いと診断されます。

具体的な診断方法について

精密な耐震診断は、建築基準法の構造規定に近い考え方が取り入れられています。既存の図面を元に計算を行う点は一般的な診断方法と変わりません。必要耐力の算定では標準せん断力分布係数を元に、地震係数、振動特性係数、層せん断力分布係数が乗じられ、地震層せん断力係数が求められます。

保有耐力の算定では、新耐震設計基準でも用いられている手法による診断方法が採用され、偏心率と剛性率の検討がなされます。診断結果の判定は一般的な診断方法と変わらず、保有耐力を必要耐力で除した値の結果に応じて総合的な評価が与えられます。

コンクリート鉄筋鉄骨の状態のチェック

コンクリート鉄筋鉄骨の建築物の耐震診断は診断方法が異なります。診断には既存建物の構造設計図や構造計算書が必要で、それがない場合は現地での実測を伴う精密な調査が必要となります。現地ではコンクリートのひび割れや、不動沈下の有無も調査されます。

コンクリート鉄筋鉄骨の耐震診断では、is値と言われる構造耐震指標を算出して判定に用います。is値は保有性能基本指標、形状指標、経年指標を乗じた値です。is値が0.6以上であれば倒壊の危険は低いとされ、0.3以上0.6未満の場合は倒壊の危険ありとされ、0.3未満では倒壊の危険が高いと言う判定が下されます。

まとめ

建築物の耐震性は建築年により推測されます。鉄筋コンクリート造や鉄骨造の場合は1981年6月以降に建築確認申請を取っていれば安全で、木造の場合は補強金物の基準が整う、2000年以降の建築であれば耐震性は高いと言えます。それ以外の時期に建築された建物は、耐震診断が必要です。