地盤調査に改良が必要とされた場合に必須の地盤改良工事

建築物を建てる場合は地盤が建物の重さを支えるだけの地耐力を有している必要があります。もし、所定の地耐力が得られない場合は、地盤改良工事により地耐力を確保し、建物の耐震性に影響を与えないようにする必要があります。地盤調査は災害による被害を未然に防ぎ、建物の安全性を確保する基本となるものです。

地盤改良工事が必要な場合は

弱い地盤は建物の耐震性にも影響を与え、災害時の被害を大きくします。建物は地盤が弱い場所には建てないのが原則です。しかし、事情により建てなければならない場合は地盤改良工事を行う必要があります。地盤改良の前提として地盤の地耐力を知る必要があり、地耐力は地盤調査により求められます。

地盤改良工事が必要なのは、地盤が建物を支えるだけの地耐力を持たない場合です。木造の戸建て住宅では、重量が1㎡あたり2tを越えることはありません。1㎡あたり2tの地耐力があるかどうかが、地盤改良工事を行うかどうかの目安となります。

表層改良工法について

表層改良工法は地表から2m以内の軟弱地盤を改良する方法です。地表から2m以内に、所定の地耐力を持った支持層があることが前提で行われる方法です。軟弱地盤を改良し、その下の支持層と一体化させる方法です。表層改良工法により強化された地盤では、建物の耐震性も増すことになり、災害における被害の防止に役立ちます。

表層改良工法による地盤改良工事は、軟弱地盤を入れ替える訳ではなく、固形剤と混ぜ合わせて強度を増すものです。無駄な廃土を出さずに済み、費用も比較的安く済みます。表層改良工法は支持層が傾斜している場合は使うことができません。

柱状改良工法について

地盤改良工事の中でも柱状改良工法は、支持層が比較的深い場合でも使える工法です。表層改良工法は建物が建つ地盤前面を改良したのに対して、柱状改良工法は柱状のコラムを必要な間隔でつくっていくものです。柱状のコラムはセメントミルクが混入され、土と一体化されて形成されます。

柱状改良工法は形状が柱状なため、杭基礎と同じような役割をはたします。通常の地盤改良工事は支持層が必要ですが、柱状改良工法はコラムの摩擦により耐力を期待でき、支持層が深い場合でも適用が可能です。地盤改良をどの工法で行うかは地盤調査により地盤の状態を確認した上で行われます。

まとめ

地盤調査の結果、改良が必要と判断された場合に行われる地盤改良について理解いただけたでしょうか。建物は地盤が良い場所に建てることが基本です。地盤改良により地耐力が確保されても、軟弱地盤は地震の揺れを大きくする働きがあります。軟弱地盤に住宅を建てる場合は、筋違い等が多めに必要です。

耐震性から考える建売住宅に必要な耐震について

注文住宅と違い、建売住宅はすでに完成している住宅です。すでに耐震性は定めっているので、どれだけ耐震性があるかを見分けることが、災害に強い住宅を手に入れるポイントとなります。

耐震性の見分け方は、地盤と基礎、耐震壁の仕様と設置か所を的確に判断することです。素人でも可能な判断方法により災害からのリスクを減らすことができます。

耐震性能が高い家の構造について

耐震性が高い家は構造により異なります。建売住宅に多い2×4住宅は、建築後20年以内と限れば、高い耐震性を示します。鉄筋コンクリート造ではラーメン構造よりも壁式構造が強く、鉄骨造では軽量鉄骨造よりも重量鉄骨造が地震に対して強い構造です。

木造軸組工法は耐震壁を設けなければ地震に弱い構造です。基礎をべた基礎とし、耐震壁と補強金物を十分に設ければ、他の構造と変わらない強さが期待できます。木造軸組工法が真価を発揮するのが、建築後50年以上経過してからです。木造の柱と梁でつくられた構造は、年月が経過しても強度は衰えません。

耐震性能が高い新築建売物件を見分けるポイント

耐震性の高い建売住宅を見分けるには素人でもできる簡単な方法があります。住宅の構造は建築基準法により規定されていますが、建築基準法はあくまでも最低限度の基準に過ぎません。そこで保障されるのは、震度6程度の地震に対してだけで、それ以上の揺れの地震に対しては未知数です。

建築基準法の最低限の規定だけをクリアした建売住宅は災害に弱い住宅といえます。災害に強い建売住宅は、住宅性能表示制度による耐震等級3を取得している住宅です。同程度の基準を持つ、長期優良住宅の認定を受けている建物も災害に強い住宅といえます。

壁量計算書の確認ポイント

木造軸組工法や2×4工法で建てられた住宅には壁量計算書がつくられています。壁量計算書は建築基準法の規定を満たしているかどうかを判断するためのもので、2×4工法の場合は必要壁量に対して、十分に多い壁量が設置されているはずです。

木造軸組工法の壁量計算書では、必要壁量に対して、余裕のある量の耐震壁が設置されているかどうかが、良い建売住宅かどうかを見分けるポイントとなります。必要壁量の数値に対して、1.5倍以上の数値が確保されていれば、十分に耐震性のある住宅といえます。必要壁量を僅かしか超えていなければ、耐震性は弱いといえます。

まとめ

建売住宅の耐震性について理解が深まったでしょうか。建築の素人には、災害に遭いにくい丈夫な建売住宅を見分けることは通常困難です。しかし、住宅性能表示制度の耐震等級や長期優良住宅の認定を取得しているかどうかで、耐震性の高い住宅であるかどうかを判断出来ます。

耐震診断の内容は?具体的な診断方法について

住宅の耐震診断は、その住宅が持っている耐震性を診断するものです。診断方法は一般的な診断と精密な診断に分かれます。耐震診断は建物の弱点を未然に知ることで、災害時の被害を最小にするものです。

診断の結果、補強が必要な場合は、最善の方法に補強することで、補強しなかった場合に倒壊を免れない建物がそうならないで済みます。

基本的な診断方法について

一般的な耐震診断は、主に既存建物の設計図を元に耐震性を確かめる簡単な計算を行い、災害で大きな被害が出ない耐震性を持っているかどうかを確かめます。

具体的には、決められた計算方法で、その建物が地震で倒壊しないために必要な必要耐力を求め、実際にその建物が持っている保有耐力と比べて結果を検討するものです。

保有耐力を必要耐力で除した値が1.0以上であれば一応倒壊しないとされ、1.5以上であれば倒壊しない建物との診断を受けます。0.7~1.0の範囲内では倒壊の危険があるとされ、0.7未満の場合は倒壊の可能性が高いと診断されます。

具体的な診断方法について

精密な耐震診断は、建築基準法の構造規定に近い考え方が取り入れられています。既存の図面を元に計算を行う点は一般的な診断方法と変わりません。必要耐力の算定では標準せん断力分布係数を元に、地震係数、振動特性係数、層せん断力分布係数が乗じられ、地震層せん断力係数が求められます。

保有耐力の算定では、新耐震設計基準でも用いられている手法による診断方法が採用され、偏心率と剛性率の検討がなされます。診断結果の判定は一般的な診断方法と変わらず、保有耐力を必要耐力で除した値の結果に応じて総合的な評価が与えられます。

コンクリート鉄筋鉄骨の状態のチェック

コンクリート鉄筋鉄骨の建築物の耐震診断は診断方法が異なります。診断には既存建物の構造設計図や構造計算書が必要で、それがない場合は現地での実測を伴う精密な調査が必要となります。現地ではコンクリートのひび割れや、不動沈下の有無も調査されます。

コンクリート鉄筋鉄骨の耐震診断では、is値と言われる構造耐震指標を算出して判定に用います。is値は保有性能基本指標、形状指標、経年指標を乗じた値です。is値が0.6以上であれば倒壊の危険は低いとされ、0.3以上0.6未満の場合は倒壊の危険ありとされ、0.3未満では倒壊の危険が高いと言う判定が下されます。

まとめ

建築物の耐震性は建築年により推測されます。鉄筋コンクリート造や鉄骨造の場合は1981年6月以降に建築確認申請を取っていれば安全で、木造の場合は補強金物の基準が整う、2000年以降の建築であれば耐震性は高いと言えます。それ以外の時期に建築された建物は、耐震診断が必要です。

木造軸組工法における基礎と構造について

柱と梁、桁を組んで軸組みを作る木造軸組工法は、日本人に馴染み深い工法です。住宅メーカーや工務店の多くが木造軸組工法で住宅を建てています。

災害の多い日本では、木造軸組工法の仕組みを知ることは大切です。木造軸組工法は、基礎、耐力壁、補強金物により強さが担保されており、その良し悪しで耐震性が決まります。

基礎の役割について

住宅の耐震性において、地盤を含んだ基礎は最も重要な部分です。基礎が弱い構造は地震で被害が集中します。その役割は建物の重さを地面に伝えることにあります。地震時には建物を一体化させる役割を担い、揺れを建物に均等に振り分けます。

基礎は地盤が弱いほど頑丈に作る必要があります。独立、布、べたの種類があり、軟弱な地盤や盛土と切土の境では最も頑丈なべた基礎が使われます。軟弱な地盤は地震の揺れが大きくなるので、地震力がより均等に建物に伝わることが要求されます。盛土と切土では地震の揺れが異なるため、べた基礎で揺れを吸収する必要が生じます。

構造部に重要な耐力壁

木造軸組工法は耐力壁により地震に抵抗する工法です。従来の日本の伝統的な工法であった伝統木工法は、太い柱と幾重にも組んだ梁により耐震性を確保していましたが、それに比べて柱が細く、梁部材の少ない木造軸組工法は、耐力壁がないと地震に抵抗できません。

耐力壁は主に筋違いや構造用合板により作られますが、バランスの良い配置が重要です。建物の周辺部分の他、内部にも耐力壁を確保することが耐震性の向上には必要です。2階建ての場合、2階に耐震壁がある部分の1階に耐震壁がないと、耐震性が悪くなり、建物の倒壊につながることがあります。

木造軸組住宅の耐震性を確保する補強金物

建物の耐震性に影響を与えるものに補強金物があります。補強金物は木造部材の接合部を固定するための金物で、多くの力が集中する土台部分には、ホールダウン金物が用いられ、ボルトで固定されます。梁が抜けないようにする羽子板ボルトや、筋違いの補強金物は、必ず設置しなければなりません。

近年では地震の揺れを再現する装置の上に実物大の住宅をつくり、耐震性を確かめる実験が行われるようになりました。補強金物が弱いか足りない住宅は、建物が傾いた時に簡単に倒壊してしまいますが、補強金物が十分に設置された建物は、簡単に倒壊しないことが実験で確かめられました。

まとめ

木造軸組工法における基礎、耐力壁、補強金物の重要性がおわかりいただけたでしょうか。災害は備えを十分に行うことで、被害を最小限にすることができます。

丈夫につくれば他の工法にはない耐久性を発揮する木造軸組工法が、基礎、耐力壁、補強金物により耐震性が確保されています。

安心できる家作りのために重要な地盤調査について

大きな地震が起こるとある地域においては道路面から水が噴き出し、そして住宅地においては不同沈下が起こって液状化で家そのものが傾いたというニュースが流れました。なぜそのような現象が起こるのか疑問に思われた人々も多かったのではないかと思われます。
これは地盤面が軟弱で昔は池や田圃、川とか沼地であった可能性があります。

地盤調査について

宅地開発が行われ造成されてもある一定の雨期を含む時期を置かなければ地盤は固まらないとされています。これを急ぐと上記のような場所では不同沈下が起こり、家を建てても場合によっては住み替えを行わなければならなくなります。

家は耐震性に適合すると同時に上記のようなことが起こらないように最初に地盤調査を行うことが重要になって来ています。過去に災害を受けたことのある土地もこのような可能性が高いもので、スウェーデン式試験方法とかボーリング標準貫入試験、表面波探査法その他の方法でもって調査が行われます。一生に1度あるかという大切な買い物ですので後で後悔しないように順序を追って工事が進められるべきです。

地盤改良が必要と診断された場合は?

いくら建物が耐震性に優れていても必要な地盤支持力が得られないようであれば地盤改良工事が行われます。この工事は地盤の状態によって工法も違って来ます。一般の住宅の場合は主に3つの工法が良く知られています。

軟弱地盤が深度2メートルまでの場合は表層を取り除き土と固化材を混ぜる表層改良工法が、同じく深度が2メートルから8メートルの場合は地中を円柱状に掘削しながらセメントを注入して固める柱状改良工法が、そして軟弱地盤が深度2メートル以上30メートルまでで且つ狭小地で大型重機の搬入が困難な場所においては鋼製の杭を打ち込む鋼管杭工法という方法がとられます。

地盤調査報告書について

地盤調査報告書についてはまず担当技術者者が現場からデータを送信して地盤調査データを作成します。換算qa値や換算N値、推定柱状図、グラフなどの数値の調査結果から地盤判定技術者が土地について地盤改良が必要か不要かを過去のデータベースと照らし合いながら多角的見地に立って判断します。

地盤の判定後に施主にも分かり易い地盤調査報告書が提出されます。地盤改良が必要と判定された場合には地盤設計技術者がその土地にあった地盤改良の工法を提案し最適な工法を実施します。
工法が決定すると地盤状況に合わせてその設計が行われます。

まとめ

いかがでしたか?住宅を建てる場合には建物の耐震性は大切ですが地盤面が軟弱であれば建物は堅固であっても災害は起こりますので最初に地盤調査をすることは欠かせません。
地盤調査の結果地盤改良が必要かどうかについてはその報告書が提出され、改良の有無と工法が検討されます。

耐震性を上げる、建物の基礎工事

災害に強い住まいとは、どのような住まいでしょうか。家族を守り、財産を守り、健康で快適に暮らせる住まいとは、何がポイントになるのでしょうか。一戸建て住宅を支えているのが基礎と土台です。しっかりと支えているからこそ、耐震性が発揮されるようになります。地震に強い住まいを目指すときに重要なポイントになります。

建物の基礎とは?

一戸建て住宅の基礎は、地盤と建物との境目に施工されるものです。何種類かの施工スタイルがあります。大きく分けると二種類あります。
ひとつは、建物の床下を全面的にコンクリートで固めるスタイルです。床下には地表面が出ていません。地面の土とは隔絶されています。
もうひとつが、地面に対して建物の外壁から延長線上に垂直かつ水平に施工するスタイルです。床下には地表面が露出しています。地面の土の状態や地質が、床下の環境にも影響します。
いずれの場合もコンクリートで施工します。コンクリート製なので、耐久性能に優れています。建物全体の重量を、しっかりと支える構造を形成します。

基礎と土台の違いは?

基礎はコンクリートで施工されます。一戸建ての建物の重量を支える役割を果たし、地面に沈まないように機能します。地盤が弱い場合は、建物が沈んだり傾斜しないように、地盤を改善して強化します。一度、施工してしまうと、リフォームは困難ですから、最初の設計が重要です。
土台は木材で施工されます。一戸建ての建物が水平な状態を維持する役割を果たし、揺れに対して強さを発揮できるように機能します。必要に応じてリフォーム工事を実施できます。
材質の違いはありますが、どちらも耐久力が大きくなるように設計されています。

基礎工事が必要な理由

基礎工事の施工で、どんなに重量のある建物でも、地面に沈まなくなります。着工する前に地盤調査を行なって、地盤の状態と地質を把握してから適切な地盤改良工事を行なえば、地震や強風の災害が発生して大きく揺れても、建物が傾かないように維持できます。
地震の揺れや、台風などの強風による揺れは、建物を歪ませてしまいますが、しっかりとした基礎が耐久性を発揮するので、歪みに耐えて元通りに戻ります。
建物の床下は地下水や湿気の影響を受けやすいのですが、コンクリート基礎が施工されていることにより、土台から上の柱と梁の構造体の木材は、腐敗しにくくなります。

まとめ

一戸建て住宅が、耐震性を発揮するためには、しっかりとした基礎工事が施工されて、湿気による腐敗が発生しにくいように土台を施工するのがポイントです。
制震装置や、免震構造などの耐震性を高める施工も、まずは建物としての基礎が、しっかりしていることが求められます。

日本における耐震基準の歴史について

日本は災害の中でも地震大国として世界でも有名な国の一つです。そんな日本の住宅では昔から耐震性を意識した住宅造りをして来ました。当然耐震性は時代とともに進歩しています。

では、耐震性はどのような歴史を持っているでしょうか。その歴史を知っておくことで、家族の尊い命を救うことができます。

1971年以降の耐震基準について

1971年の耐震基準は当時の建築基準法を改正したものです。それまでの耐震基準は、2階建ての木造住宅からマンションやビルにも適用できる耐震基準として定められていましたが、1971年の改正では、従来の基準をグレードアップした物になります。

その時の大きな改正部分は、柱の強度です。柱の強度を上げることで、大きな揺れにも対応できるようにしたのです。1995年1月に発生した阪神淡路大震災の時、柱を強化したために倒壊する住宅が少なかったのです。1971年以降10年間この耐震基準が利用され、多くの災害を防ぐことができました。

1981年以降の耐震基準について

1981年には、10年ぶりに耐震基準が改正されます。耐震基準の中で一番大きな改正と言われるのが1981年の改正になります。一般的に新耐震基準と言われる物がこれに当たります。

この時の建築基準法の改正により、震度7程度の住宅でも倒壊しない家造りをすることができるようになりました。この改正の主眼は、建物の倒壊だけでなく、建物の中にいる人の安全性に置かれたのです。震度4から5程度の地震では軽いひび割れが起こらない程度の強度、そして、震度6から程度の地震の場合には建物が崩壊しない程度の耐震性になっています。

2000年以降の耐震基準について

2000年以降の建築基準法改正では、主に木造一戸建て住宅の耐震性を上げることに主眼が置かれました。まず、木造住宅を建築する時には、必ず地盤調査をしなければならなくなりました。地盤がしっかりしていなければ、どれだけ耐震性が強化された住宅を建築しても、その効果は半減してしまうからです。

また、震度6以上の地震の時には柱や梁が抜けてしまう現象がよく起こります。柱や梁が抜けてしまうと、建物が倒壊しやすくなりますので、これを防ぐために、金物で柱同士や梁同士を固定して、抜けないようにすることが義務づけられたのです。

まとめ

いかがでしたか。住宅の耐震性は時代とともに、進化してきています。住宅選びの際には、その住宅の間取りや外観だけでなく、耐震性がどの程度なのかを気にすることも大事です。
特に中古住宅を買う時には、将来的な災害を意識して耐震性を判断できるようにすると良いでしょう。

耐震性能だけで決まらない!住宅倒壊を左右する「地盤」について

地震という災害の多い日本においては、建物に耐震性があることが求められます。一方で耐震性はあくまでも建物の性能であり、その建物の建つ地面に関してはあまり注目されていません。しかし、いくら耐震性が優れていても地面の状態によっては、倒壊するリスクが高いといえます。災害に強い建物を作る場合には地面にも注目する必要があります。

住宅の倒壊リスクを高める地盤について

建物が倒壊してしまう理由としては、建物の耐震性があります。耐震性が弱ければそれだけ揺れに対する建物の強さが低下し、揺れによって建物が倒壊してしまいます。一方で耐震基準では、あくまでも建物の耐震性が重視されていますが、実際のところ建物がいくら頑丈にできていても地盤が弱ければ倒壊のリスクが高まります。
地盤が弱いことによるデメリットとしては、地震などの災害のさいに揺れが増幅したり沈下するといったリスクが増えますし、また洪水などの際には地盤が流れてしまって沈下するリスクが増大することになります。

地盤調査はどうすればよい?

実際の地盤状態は見た目にはわかりにくいものです。もちろんある程度、地域の地質によってその状態は知ることができますが、実際に建物が建っている場所がどのような地質であるかは変わってきます。特に盛土によって造成された地域では軟弱なケースが多く注意が必要です。
これらを調査するためには専門の調査会社を使って調べてもらう必要があります。調査は総合的に行われもとからの地図や航空写真などからその地域の地質を調べ、またボーリングを行い地中の土質などを調べることで見えない土の中の状態を把握することができます。

耐震性の3つのポイント「地盤」「基礎」「構造」

災害に強い家を建てる際には、建物の耐震性だけでなくその建物が建つべき地盤を強化することが大事です。これは建物(構造)を支えるのが基礎であり、基礎が乗るのが地盤であるためです。
現在では建物は木造であっても耐震金具などを使えば優れた耐震性を持たせることができますし、基礎も現在ではベタ基礎と呼ばれる、建物が乗る部分のすべてが鉄筋コンクリートで出来ているものになり非常に強固です。しかし、肝心の地盤が弱ければ建物が傾いたり、最悪の場合には倒壊してしまうリスクを増大させます。このため強い耐震性を得るためにはこの3つを複合的に強化することがポイントになります。

まとめ

現在の日本における建物の耐震性は世界的に見ても非常に優れたものです。しかし、地盤に関しては見えない場所ということもあり、あまり注目されていません。建物を建てるさいには地中の状態も知ることが災害に負けない強い建物を作る上で重要なポイントになります。

何でわかる?建物の耐震性の調べ方

住宅や建築物は年数が経つと劣化して来ますし、建物の基礎回りや外壁に亀裂が入ることもあります。そうなると大きな地震が起こった時に倒壊しないのだろうかと心配にもなります。
家族の人数が変わったり、機能性が変化したりするとリフォームを検討することもありますが、そのような際に地震が起きると色々心配も出て来ます。

築年数から耐震性を調べるには

耐震性は現在の建築基準法に適合していることが求められます。しかし長年の間には地震の経験もしたりして建物自身が弱くなっている可能性もあります。

住宅を含む建築物の耐震性については過去1981年にそれまでの旧基準から新しい新基準と呼ばれるものに改正されました。それと2000年にも建築基準法の一部が改正され新基準になっています。

図面とか建築確認申請の図書があればこのうちのどの時期に建設されたものであるかが分かります。しかし1981年から2000年の間に建設されたものであっても耐震性が満たされてないものも中には見られます。

建物自体の耐震性を調べるには

建物自体の耐震性については、一戸建て住宅の場合には建物の基礎回り、外壁の状況がまず観察されます。そして土台などはシロアリなどに荒らされていないかチェックされます。次に平面の間取り図があれば、図面通りに施工が行われているかどうかがチェックされます。

平面において地震の力を負担する耐力壁と呼ばれる壁が縦横方向共にバランスよく多く入っているかどうかの壁量がチェックされます。1階部分が柱ばかりで壁のないピロティと呼ばれる構造の場合は危険と判断される場合があり、その場合には何らかの補強が必要となります。

耐震等級で判断するには

住宅の構造の安定性の目安となるものに住宅性能表示の耐震等級という指標があります。これは建築基準法で決められた通りに施工を行ったものは等級1、建築基準法の1.25倍の強さの場合は等級2、建築基準法の1.5倍の強度を持つ場合には等級3という3種類の耐震等級が定められています。

これを構造計算を行わずに判定する場合には等級1の場合は建築基準法の規定以上に壁量を追加することで満たされます。その他の等級では壁量計算で必要な壁量は各階の床面積に地震用の壁係数を掛けたものが必要とされ階数によっても違って来ます。そして地震時と台風時のうちの安全側で決められます。

まとめ

いかがでしたか?住宅も年月とともに劣化して来ますし、自然災害の規模もこのところ大きくなって来ています。
建築基準法もこれらのデータをもとに法改正が行われて来ています。築年数が長い物件は地震の際に災害を受ける可能性もあり、その際は耐震診断を受けると対処法が見つかることもあります。

説明できますか?「免震」と「耐震」と「制震」の違い

日本は自然災害とりわけ地震災害が大きな国です。近い将来に来るであろう東南海地震に備えて現在訓練を始める地域もあると聞きます。大きな地震では津波を引き起こすことも多く、家屋の倒壊のニュースも入って来ます。
これまでの災害状況の資料を基に耐震基準が見直され、近いものでは1981年と2000年に建築基準法が改正されています。

「免震」「耐震」「制震」どう違う?

地震に対する耐震性はまず人命に支障がないように建築基準法でその必要とされる規準が決められています。内容としては平面的に縦横方向に耐震壁がバランスよく配置され、柱は梁、床が一体として地震力に対抗するように固められています。木造の場合はアンカーボルトによる基礎と土台、躯体は筋違や金物、金具で緊結される構造になっています。

制震とは建物の一定の階にダンパーを設置してその揺れを吸収する方法です。免震とは建物の最下階において建物と地盤との間に積層ゴムを挟むことで建物の揺れを軽減させる方法を言います。この2つの方法は高層建築物でとられる手法として知られています。

建物の安全性が一番高いのは?

耐震構造が地震に対しては中心的な役割を持ちます。従ってこれなしに他の2つの工法だけを取り入れても意味はありません。地震が発生した場合には高層建物の上階になるほどその固有周期は長くなり、生活者にとっては揺れが治まるまで気持ちの悪い状態になります。

免震工法であれば地盤と切り離されて揺れが一体的に最下階において移動するだけですので上階まで影響をほとんど与えないものです。この工法は比較的に新しく開発された方法で基礎部分に免震装置と呼ばれるものが設置されてその役割を担うものです。ただ後から設置できないのと費用が高くつきます。

気になる「免震装置」とは?

免震装置はアイソレーターとダンパーで構成され、アイソレーターは周期の短い揺れを長い周期の揺れに変える役目を持ち、ダンパーは建物の揺れを静止させるエネルギー吸収の役目を持っています。

アイソレーターは重い建物の重量を支え、これには積層ゴム系のものとすべり系の2種類あります。この中にはダンパーの機能を備えたものもあり2つを兼ね備えたものはハイブリッド型と呼ばれます。4秒から5秒という画期的ともいえる長周期化を実現しているものもあります。すべりによる摩擦がダンパーの役目も兼ねるのでダンパーは必要なく安上がりとも言われています。

まとめ

大きな地震に対して有効なのはまず耐震性であり、その次に地震の揺れに対しては免震装置が揺れを吸収しますので有効とされます。そして制震工法は高い建物の中間の階に設置された制震装置によって揺れを吸収することで全体的な揺れを軽減することができるようになっています。