地盤調査に改良が必要とされた場合に必須の地盤改良工事

建築物を建てる場合は地盤が建物の重さを支えるだけの地耐力を有している必要があります。もし、所定の地耐力が得られない場合は、地盤改良工事により地耐力を確保し、建物の耐震性に影響を与えないようにする必要があります。地盤調査は災害による被害を未然に防ぎ、建物の安全性を確保する基本となるものです。

地盤改良工事が必要な場合は

弱い地盤は建物の耐震性にも影響を与え、災害時の被害を大きくします。建物は地盤が弱い場所には建てないのが原則です。しかし、事情により建てなければならない場合は地盤改良工事を行う必要があります。地盤改良の前提として地盤の地耐力を知る必要があり、地耐力は地盤調査により求められます。

地盤改良工事が必要なのは、地盤が建物を支えるだけの地耐力を持たない場合です。木造の戸建て住宅では、重量が1㎡あたり2tを越えることはありません。1㎡あたり2tの地耐力があるかどうかが、地盤改良工事を行うかどうかの目安となります。

表層改良工法について

表層改良工法は地表から2m以内の軟弱地盤を改良する方法です。地表から2m以内に、所定の地耐力を持った支持層があることが前提で行われる方法です。軟弱地盤を改良し、その下の支持層と一体化させる方法です。表層改良工法により強化された地盤では、建物の耐震性も増すことになり、災害における被害の防止に役立ちます。

表層改良工法による地盤改良工事は、軟弱地盤を入れ替える訳ではなく、固形剤と混ぜ合わせて強度を増すものです。無駄な廃土を出さずに済み、費用も比較的安く済みます。表層改良工法は支持層が傾斜している場合は使うことができません。

柱状改良工法について

地盤改良工事の中でも柱状改良工法は、支持層が比較的深い場合でも使える工法です。表層改良工法は建物が建つ地盤前面を改良したのに対して、柱状改良工法は柱状のコラムを必要な間隔でつくっていくものです。柱状のコラムはセメントミルクが混入され、土と一体化されて形成されます。

柱状改良工法は形状が柱状なため、杭基礎と同じような役割をはたします。通常の地盤改良工事は支持層が必要ですが、柱状改良工法はコラムの摩擦により耐力を期待でき、支持層が深い場合でも適用が可能です。地盤改良をどの工法で行うかは地盤調査により地盤の状態を確認した上で行われます。

まとめ

地盤調査の結果、改良が必要と判断された場合に行われる地盤改良について理解いただけたでしょうか。建物は地盤が良い場所に建てることが基本です。地盤改良により地耐力が確保されても、軟弱地盤は地震の揺れを大きくする働きがあります。軟弱地盤に住宅を建てる場合は、筋違い等が多めに必要です。

家を建てるのに必須!地盤調査の種類と相場について

家を建てる前には地盤調査が必要です。敷地が災害に遭わない場所であるかどうかや、建物の荷重を支えることができるかどうかを建築前に判断することで、適切な対策を行うことができます。

災害に遭いやすい地盤は軟弱な地盤であることが多く、調査により地盤を把握することで、初めて建築の耐震性の高い住宅の建築が可能となります。

地盤調査はいくらかかる?必須な理由は?

地盤調査は建物の耐震化の前提です。弱い地盤は補強が必要で、補強では済まない場合は、敷地の変更も考慮しなければなりません。建物は地盤の上に立つものです。地盤が悪い状態のままでは、建物の耐震性だけを高めても意味がありません。

戸建て住宅の耐震性を確実なものにするには、地盤が建物を建てる場所として適切であるかや、補強が必要であるかを判断しなければなりません。そのためには地盤調査が必要です。戸建て住宅の場合は、通常、本格的なボーリング調査は行わず、簡易的な調査であるスウェーデン式サウンディング試験により地盤を評価するので、費用は安く済みます。

スウェーデン式サウンディング試験の特徴と相場

スウェーデン式サウンディング試験はスウェーデン国有鉄道が不良路盤の調査に用いた方法で、費用負担が少ないので、簡易的な地盤調査として広く普及しています。スクリューポイントが取り付けられたロッドを地盤に回転して差し込んでいく過程で、25㎝差し込むのに要した回転数を計測するものです。

計測器は敷地に簡単に設置でき、戸建て住宅の場合は最低4か所の地点で計測します。費用は地盤等の状況により異なりますが、8万円から12万円程が相場です。この地盤調査は住宅瑕疵担保履行法により義務化され、工事施工者が行ってくれます。

ボーリング試験の特徴と相場

ボーリング試験は本格的な地盤調査で、大型の鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建物を建築する場合は必ず行われます。戸建て住宅の場合でも、特に地盤が悪いなどの特殊な状況の場合は、この試験が行われます。

ボ-リング試験は地盤から土のサンプルを採取するものです。通常、支持地盤と言われる、建物を支えるために必要な強度を持った地盤に到達する深さまで行われます。したがって、料金は支持地盤の深さにより異なりますが、1m当り2万円程度を予定しておけば十分です。スウェーデン式サウンディング試験が簡易的な調査であるのに対して、ボーリング試験は本格的な地盤調査です。

まとめ

家を建てる前に行う地盤調査の種類と特徴及び相場が理解いただけたでしょうか。簡易的な調査してのスウェーデン式サウンディング試験では不安を感じる場合は、本格的な調査であるボーリング試験を行うことにより、安全な地盤であることを確かめることが必要です。

耐震性から考える建売住宅に必要な耐震について

注文住宅と違い、建売住宅はすでに完成している住宅です。すでに耐震性は定めっているので、どれだけ耐震性があるかを見分けることが、災害に強い住宅を手に入れるポイントとなります。

耐震性の見分け方は、地盤と基礎、耐震壁の仕様と設置か所を的確に判断することです。素人でも可能な判断方法により災害からのリスクを減らすことができます。

耐震性能が高い家の構造について

耐震性が高い家は構造により異なります。建売住宅に多い2×4住宅は、建築後20年以内と限れば、高い耐震性を示します。鉄筋コンクリート造ではラーメン構造よりも壁式構造が強く、鉄骨造では軽量鉄骨造よりも重量鉄骨造が地震に対して強い構造です。

木造軸組工法は耐震壁を設けなければ地震に弱い構造です。基礎をべた基礎とし、耐震壁と補強金物を十分に設ければ、他の構造と変わらない強さが期待できます。木造軸組工法が真価を発揮するのが、建築後50年以上経過してからです。木造の柱と梁でつくられた構造は、年月が経過しても強度は衰えません。

耐震性能が高い新築建売物件を見分けるポイント

耐震性の高い建売住宅を見分けるには素人でもできる簡単な方法があります。住宅の構造は建築基準法により規定されていますが、建築基準法はあくまでも最低限度の基準に過ぎません。そこで保障されるのは、震度6程度の地震に対してだけで、それ以上の揺れの地震に対しては未知数です。

建築基準法の最低限の規定だけをクリアした建売住宅は災害に弱い住宅といえます。災害に強い建売住宅は、住宅性能表示制度による耐震等級3を取得している住宅です。同程度の基準を持つ、長期優良住宅の認定を受けている建物も災害に強い住宅といえます。

壁量計算書の確認ポイント

木造軸組工法や2×4工法で建てられた住宅には壁量計算書がつくられています。壁量計算書は建築基準法の規定を満たしているかどうかを判断するためのもので、2×4工法の場合は必要壁量に対して、十分に多い壁量が設置されているはずです。

木造軸組工法の壁量計算書では、必要壁量に対して、余裕のある量の耐震壁が設置されているかどうかが、良い建売住宅かどうかを見分けるポイントとなります。必要壁量の数値に対して、1.5倍以上の数値が確保されていれば、十分に耐震性のある住宅といえます。必要壁量を僅かしか超えていなければ、耐震性は弱いといえます。

まとめ

建売住宅の耐震性について理解が深まったでしょうか。建築の素人には、災害に遭いにくい丈夫な建売住宅を見分けることは通常困難です。しかし、住宅性能表示制度の耐震等級や長期優良住宅の認定を取得しているかどうかで、耐震性の高い住宅であるかどうかを判断出来ます。

耐震診断の内容は?具体的な診断方法について

住宅の耐震診断は、その住宅が持っている耐震性を診断するものです。診断方法は一般的な診断と精密な診断に分かれます。耐震診断は建物の弱点を未然に知ることで、災害時の被害を最小にするものです。

診断の結果、補強が必要な場合は、最善の方法に補強することで、補強しなかった場合に倒壊を免れない建物がそうならないで済みます。

基本的な診断方法について

一般的な耐震診断は、主に既存建物の設計図を元に耐震性を確かめる簡単な計算を行い、災害で大きな被害が出ない耐震性を持っているかどうかを確かめます。

具体的には、決められた計算方法で、その建物が地震で倒壊しないために必要な必要耐力を求め、実際にその建物が持っている保有耐力と比べて結果を検討するものです。

保有耐力を必要耐力で除した値が1.0以上であれば一応倒壊しないとされ、1.5以上であれば倒壊しない建物との診断を受けます。0.7~1.0の範囲内では倒壊の危険があるとされ、0.7未満の場合は倒壊の可能性が高いと診断されます。

具体的な診断方法について

精密な耐震診断は、建築基準法の構造規定に近い考え方が取り入れられています。既存の図面を元に計算を行う点は一般的な診断方法と変わりません。必要耐力の算定では標準せん断力分布係数を元に、地震係数、振動特性係数、層せん断力分布係数が乗じられ、地震層せん断力係数が求められます。

保有耐力の算定では、新耐震設計基準でも用いられている手法による診断方法が採用され、偏心率と剛性率の検討がなされます。診断結果の判定は一般的な診断方法と変わらず、保有耐力を必要耐力で除した値の結果に応じて総合的な評価が与えられます。

コンクリート鉄筋鉄骨の状態のチェック

コンクリート鉄筋鉄骨の建築物の耐震診断は診断方法が異なります。診断には既存建物の構造設計図や構造計算書が必要で、それがない場合は現地での実測を伴う精密な調査が必要となります。現地ではコンクリートのひび割れや、不動沈下の有無も調査されます。

コンクリート鉄筋鉄骨の耐震診断では、is値と言われる構造耐震指標を算出して判定に用います。is値は保有性能基本指標、形状指標、経年指標を乗じた値です。is値が0.6以上であれば倒壊の危険は低いとされ、0.3以上0.6未満の場合は倒壊の危険ありとされ、0.3未満では倒壊の危険が高いと言う判定が下されます。

まとめ

建築物の耐震性は建築年により推測されます。鉄筋コンクリート造や鉄骨造の場合は1981年6月以降に建築確認申請を取っていれば安全で、木造の場合は補強金物の基準が整う、2000年以降の建築であれば耐震性は高いと言えます。それ以外の時期に建築された建物は、耐震診断が必要です。

木造軸組工法における基礎と構造について

柱と梁、桁を組んで軸組みを作る木造軸組工法は、日本人に馴染み深い工法です。住宅メーカーや工務店の多くが木造軸組工法で住宅を建てています。

災害の多い日本では、木造軸組工法の仕組みを知ることは大切です。木造軸組工法は、基礎、耐力壁、補強金物により強さが担保されており、その良し悪しで耐震性が決まります。

基礎の役割について

住宅の耐震性において、地盤を含んだ基礎は最も重要な部分です。基礎が弱い構造は地震で被害が集中します。その役割は建物の重さを地面に伝えることにあります。地震時には建物を一体化させる役割を担い、揺れを建物に均等に振り分けます。

基礎は地盤が弱いほど頑丈に作る必要があります。独立、布、べたの種類があり、軟弱な地盤や盛土と切土の境では最も頑丈なべた基礎が使われます。軟弱な地盤は地震の揺れが大きくなるので、地震力がより均等に建物に伝わることが要求されます。盛土と切土では地震の揺れが異なるため、べた基礎で揺れを吸収する必要が生じます。

構造部に重要な耐力壁

木造軸組工法は耐力壁により地震に抵抗する工法です。従来の日本の伝統的な工法であった伝統木工法は、太い柱と幾重にも組んだ梁により耐震性を確保していましたが、それに比べて柱が細く、梁部材の少ない木造軸組工法は、耐力壁がないと地震に抵抗できません。

耐力壁は主に筋違いや構造用合板により作られますが、バランスの良い配置が重要です。建物の周辺部分の他、内部にも耐力壁を確保することが耐震性の向上には必要です。2階建ての場合、2階に耐震壁がある部分の1階に耐震壁がないと、耐震性が悪くなり、建物の倒壊につながることがあります。

木造軸組住宅の耐震性を確保する補強金物

建物の耐震性に影響を与えるものに補強金物があります。補強金物は木造部材の接合部を固定するための金物で、多くの力が集中する土台部分には、ホールダウン金物が用いられ、ボルトで固定されます。梁が抜けないようにする羽子板ボルトや、筋違いの補強金物は、必ず設置しなければなりません。

近年では地震の揺れを再現する装置の上に実物大の住宅をつくり、耐震性を確かめる実験が行われるようになりました。補強金物が弱いか足りない住宅は、建物が傾いた時に簡単に倒壊してしまいますが、補強金物が十分に設置された建物は、簡単に倒壊しないことが実験で確かめられました。

まとめ

木造軸組工法における基礎、耐力壁、補強金物の重要性がおわかりいただけたでしょうか。災害は備えを十分に行うことで、被害を最小限にすることができます。

丈夫につくれば他の工法にはない耐久性を発揮する木造軸組工法が、基礎、耐力壁、補強金物により耐震性が確保されています。

安心できる家作りのために重要な地盤調査について

大きな地震が起こるとある地域においては道路面から水が噴き出し、そして住宅地においては不同沈下が起こって液状化で家そのものが傾いたというニュースが流れました。なぜそのような現象が起こるのか疑問に思われた人々も多かったのではないかと思われます。
これは地盤面が軟弱で昔は池や田圃、川とか沼地であった可能性があります。

地盤調査について

宅地開発が行われ造成されてもある一定の雨期を含む時期を置かなければ地盤は固まらないとされています。これを急ぐと上記のような場所では不同沈下が起こり、家を建てても場合によっては住み替えを行わなければならなくなります。

家は耐震性に適合すると同時に上記のようなことが起こらないように最初に地盤調査を行うことが重要になって来ています。過去に災害を受けたことのある土地もこのような可能性が高いもので、スウェーデン式試験方法とかボーリング標準貫入試験、表面波探査法その他の方法でもって調査が行われます。一生に1度あるかという大切な買い物ですので後で後悔しないように順序を追って工事が進められるべきです。

地盤改良が必要と診断された場合は?

いくら建物が耐震性に優れていても必要な地盤支持力が得られないようであれば地盤改良工事が行われます。この工事は地盤の状態によって工法も違って来ます。一般の住宅の場合は主に3つの工法が良く知られています。

軟弱地盤が深度2メートルまでの場合は表層を取り除き土と固化材を混ぜる表層改良工法が、同じく深度が2メートルから8メートルの場合は地中を円柱状に掘削しながらセメントを注入して固める柱状改良工法が、そして軟弱地盤が深度2メートル以上30メートルまでで且つ狭小地で大型重機の搬入が困難な場所においては鋼製の杭を打ち込む鋼管杭工法という方法がとられます。

地盤調査報告書について

地盤調査報告書についてはまず担当技術者者が現場からデータを送信して地盤調査データを作成します。換算qa値や換算N値、推定柱状図、グラフなどの数値の調査結果から地盤判定技術者が土地について地盤改良が必要か不要かを過去のデータベースと照らし合いながら多角的見地に立って判断します。

地盤の判定後に施主にも分かり易い地盤調査報告書が提出されます。地盤改良が必要と判定された場合には地盤設計技術者がその土地にあった地盤改良の工法を提案し最適な工法を実施します。
工法が決定すると地盤状況に合わせてその設計が行われます。

まとめ

いかがでしたか?住宅を建てる場合には建物の耐震性は大切ですが地盤面が軟弱であれば建物は堅固であっても災害は起こりますので最初に地盤調査をすることは欠かせません。
地盤調査の結果地盤改良が必要かどうかについてはその報告書が提出され、改良の有無と工法が検討されます。

耐震性を上げる、建物の基礎工事

災害に強い住まいとは、どのような住まいでしょうか。家族を守り、財産を守り、健康で快適に暮らせる住まいとは、何がポイントになるのでしょうか。一戸建て住宅を支えているのが基礎と土台です。しっかりと支えているからこそ、耐震性が発揮されるようになります。地震に強い住まいを目指すときに重要なポイントになります。

建物の基礎とは?

一戸建て住宅の基礎は、地盤と建物との境目に施工されるものです。何種類かの施工スタイルがあります。大きく分けると二種類あります。
ひとつは、建物の床下を全面的にコンクリートで固めるスタイルです。床下には地表面が出ていません。地面の土とは隔絶されています。
もうひとつが、地面に対して建物の外壁から延長線上に垂直かつ水平に施工するスタイルです。床下には地表面が露出しています。地面の土の状態や地質が、床下の環境にも影響します。
いずれの場合もコンクリートで施工します。コンクリート製なので、耐久性能に優れています。建物全体の重量を、しっかりと支える構造を形成します。

基礎と土台の違いは?

基礎はコンクリートで施工されます。一戸建ての建物の重量を支える役割を果たし、地面に沈まないように機能します。地盤が弱い場合は、建物が沈んだり傾斜しないように、地盤を改善して強化します。一度、施工してしまうと、リフォームは困難ですから、最初の設計が重要です。
土台は木材で施工されます。一戸建ての建物が水平な状態を維持する役割を果たし、揺れに対して強さを発揮できるように機能します。必要に応じてリフォーム工事を実施できます。
材質の違いはありますが、どちらも耐久力が大きくなるように設計されています。

基礎工事が必要な理由

基礎工事の施工で、どんなに重量のある建物でも、地面に沈まなくなります。着工する前に地盤調査を行なって、地盤の状態と地質を把握してから適切な地盤改良工事を行なえば、地震や強風の災害が発生して大きく揺れても、建物が傾かないように維持できます。
地震の揺れや、台風などの強風による揺れは、建物を歪ませてしまいますが、しっかりとした基礎が耐久性を発揮するので、歪みに耐えて元通りに戻ります。
建物の床下は地下水や湿気の影響を受けやすいのですが、コンクリート基礎が施工されていることにより、土台から上の柱と梁の構造体の木材は、腐敗しにくくなります。

まとめ

一戸建て住宅が、耐震性を発揮するためには、しっかりとした基礎工事が施工されて、湿気による腐敗が発生しにくいように土台を施工するのがポイントです。
制震装置や、免震構造などの耐震性を高める施工も、まずは建物としての基礎が、しっかりしていることが求められます。

きちんと知っておきたい、「制震」について

建築の地震災害に対する強さを表す用語に耐震性がありますが、広い意味の耐震性を実現する方法として、狭い意味での耐震、免震、制震という用語を使うことがあります。

それぞれに特徴はありますが、耐震、免震、制震のいずれもが広い意味での耐震性の中に含まれる要素です。これらは別のものではなく、組み合わされて耐震性を実現するものです。

「制震」とは?その特徴は?

地震災害を防ぐ目的の制震は建物の耐震性の一つの要素です。建物を地震から守る方法は、部材の強度を強くする方法、地震の揺れを建物に入らなくする方法、地震の揺れを吸収する方法があり、それぞれ、耐震、免震、制震と呼ぶことがあります。

狭義の制震は、部材単位で地震の揺れを吸収する方法で、伝統的な木工法では、部材の接合部に揺れを吸収する仕組みをつくっており、これも制震の一つです。現代の建築では、制震装置を構造体の各所に取り付けて、地震の揺れを熱エネルギーに変換することにより吸収する仕組みが考えられています。

制震のメリット

制震のメリットは装置の取り付けが簡単で、既存建築の補強にも使うことができる点です。ダンパーと呼ばれる地震エネルギーを吸収する装置は、筋違いのように柱と梁に斜めに取り付けられるものの他、部材の接合部分に数多く取り付けられる小型の装置もあり、市販されています。

免震装置は新築時でないと施工が難しいのに対して、ダンパーは既存建物にも簡単に取り付けが可能です。地震に対する耐力が弱く、補強が必要な建物にとっては、ダンパーは設置しやすく便利です。他の補強と比べて価格も安く、経済的な負担が少ないのもメリットです。

制震のデメリット

制震のデメリットは効果を構造計算で示すことが難解で、建築確認申請では評価されないことが挙げられます。建築基準法の構造規定には仕様規定と性能規定があり、筋違いなどの決められた仕様を用いる場合は面倒な計算はいりません。

ダンパーを入れて地震の力を制御することはできますが、それを計算で証明することは難しく、木造の住宅では、その計算は通常行われません。したがって、ダンパーにより安全が確保されていても、筋違いなどの仕様規定を満たすことを余儀なくされ、無駄が生じる場合があります。ダンパーの設置は予備的な位置づけとなります。

まとめ

制震とは何かがお判りいただけたでしょうか。建物が地震に抵抗するためには、さまざまな手法を組み合わせる必要があります。免震ダンパーなどの一つの装置に安全を委ねる方法は危険です。一つの部材が破壊されても建物全体で地震に抵抗することが重要で、ダンパーの役割はその中の一つです。

きちんと知っておきたい、「免震」について

免震が良いのか耐震が良いのかということは、実際に起こる地震のタイプが縦揺れか横揺れか、または土壌の固さなど色々影響してくるので一概にどちらが優れているとは言えません。
しかし最近では耐震、免震、制震の要素を少しずつ取り入れる組み合わせの工事方法もあります。
免震の特徴やメリット、デメリットを理解しましょう。

「免震」とは?その特徴は?

耐震とは違います。
耐震とは地震に合っても建築物が倒壊しないという意味で使われます。
地震に負けない頑丈な造りであるというような意味で使うこともあります。
免震とはおもに建築物を構造設計する上での概念のことです。
地震が起こった際に地震力を抑制することによって建築物が破壊されてしまうことを防ぐための建築技術とも言えます。
建築物の基礎の部分に工事を行い、地震による振動を吸収するダンパーなどと組み合わせて行います。
免震技術の目的とは、地震などの災害の際に家が倒壊して命を落としてしまうなどの被害を防ぐことと言えます。

免震のメリット

メリットですが、免震技術を施した家は地震などの災害の際は揺れます。
しかしその揺れはゆったりとしていて、家全体が地震の大きな揺れに対して追いついていくような揺れ方をします。
そのため、実際の震度よりもその家の中にいる人間は、震度を低く感じることが多いのがメリットです。
大地震の時などでも慌てずに行動することが出来ます。
そのため、家具のズレや家具の落下などのリスクを最小限に抑えることが可能ということになります。
地震のタイプにもよるので、必ずしも家具がずれない、家具が落下しないというわけではないので注意が必要です。

免震のデメリット

免震のデメリットですが、耐震工事のように家本体を地盤に固めるわけではないため、家そのものの傷みを避けることは難しい点であるといえます。
また耐震工事などにくらべると免震工事の方が費用が高いこともおおく、建築物の揺れをおさめるためのスペースも必要になってくるため、近隣住宅との距離が近い場合や土地が狭い場合は免震工事じたい無理というケースもあります。
また横揺れの地震に対しては非常に有効であるものの、縦揺れの地震にはほとんどメリットがないのが実情です。
免震技術はまだ発展途上という点も忘れてはいけません。

まとめ

地震大国である日本で住む以上は、地震のことを避けて通るわけにはいきません。
いつどこで地震が起こるかは誰にもわからないからです。
しかしいざというときに、最低限命が守れるような家に住むことは重要であるといえます。
それぞれのメリットやデメリットを知ることが大切です。

きちんと知っておきたい、「耐震」について

耐震や免震という言葉はよく聞きますが、具体的にどういったものであるのかを知っておくことで地震などの災害に対する知識も身につくと考えられます。また、正しい知識があることで家を購入するときや建て替えるときの参考にもなると思いますので、耐震構造のメリットとデメリットを比較していきます。

「耐震」とは?その特徴は?

耐震というのは地震に耐える構造のことを意味します。建物の構造を頑丈にして自身の力に踏ん張って耐えることで、普通の自信では大きな損傷はなく、大地震では倒壊しない程度の損傷が発生することです。現在の新築住宅ではほとんどが耐震住宅となりますが、地震の揺れや衝撃が直接建物に伝わるため、建物自体に負担がかかってしまいやすくなります。

余震などで繰り返し起きる地震では、耐震や災害に耐え切れずに建物の損傷を防止できない側面も持っています。そのため、現在の建築では、耐震工法と地盤の揺れを建物に伝えないようにする免震工法を組み合わせて建てられる場合もあります。

耐震のメリット

耐震のメリットは、構造体そのもので耐え抜くことです。台風などの強風ではほとんど揺れないことと、現在の建築基準法では追加費用も掛からずにほぼすべての住宅が耐震基準となっていることです。建物の柱や梁、壁面を強固にすることで、家全体の強度があがり、台風などの自然災害であれば大抵は耐えることができます。

また、震度6や7レベルの自信が起きても建物の構造部分の損壊や倒壊がなく、下敷きになる人が出ないように考えられて作られています。また、耐震ですと免震のような方法と比べてコストが低く抑えられるといった点がメリットとなります。

耐震のデメリット

デメリットは、構造部分の倒壊、損壊がなくても何度も起こる地震に対し、損傷が増えていくことにあります。損傷が増えていくと、破壊や倒壊する可能性も高くなります。また、免震構造の建物と比較すると、家具が転倒しやすく家具を固定したり食器などが飛び出ないように工夫する対策も必要となってきます。

また、地震の揺れが直接建物に伝わるため、揺れが激しい点もあげられます。そして、建物の上部ほど激しい揺れになり、例えば震度7の地震が来ると二階では震度7の1.6倍にエネルギーが増幅されると言われています。1度の大きな地震に耐えられてもあとから何度も来る地震には注意が必要となります。

まとめ

日本は地震や災害の多い国で、それだけに様々な建築方法や災害対策がなされています。しかしどれだけの技術があっても自然がもたらす災害に完全な対策をすることは難しいとも言えます。とはいえ自分の家はどのような構造で作られているのか見直すことで災害に対する認識も見直せると考えられます。