日本における耐震基準の歴史について

日本は災害の中でも地震大国として世界でも有名な国の一つです。そんな日本の住宅では昔から耐震性を意識した住宅造りをして来ました。当然耐震性は時代とともに進歩しています。

では、耐震性はどのような歴史を持っているでしょうか。その歴史を知っておくことで、家族の尊い命を救うことができます。

1971年以降の耐震基準について

1971年の耐震基準は当時の建築基準法を改正したものです。それまでの耐震基準は、2階建ての木造住宅からマンションやビルにも適用できる耐震基準として定められていましたが、1971年の改正では、従来の基準をグレードアップした物になります。

その時の大きな改正部分は、柱の強度です。柱の強度を上げることで、大きな揺れにも対応できるようにしたのです。1995年1月に発生した阪神淡路大震災の時、柱を強化したために倒壊する住宅が少なかったのです。1971年以降10年間この耐震基準が利用され、多くの災害を防ぐことができました。

1981年以降の耐震基準について

1981年には、10年ぶりに耐震基準が改正されます。耐震基準の中で一番大きな改正と言われるのが1981年の改正になります。一般的に新耐震基準と言われる物がこれに当たります。

この時の建築基準法の改正により、震度7程度の住宅でも倒壊しない家造りをすることができるようになりました。この改正の主眼は、建物の倒壊だけでなく、建物の中にいる人の安全性に置かれたのです。震度4から5程度の地震では軽いひび割れが起こらない程度の強度、そして、震度6から程度の地震の場合には建物が崩壊しない程度の耐震性になっています。

2000年以降の耐震基準について

2000年以降の建築基準法改正では、主に木造一戸建て住宅の耐震性を上げることに主眼が置かれました。まず、木造住宅を建築する時には、必ず地盤調査をしなければならなくなりました。地盤がしっかりしていなければ、どれだけ耐震性が強化された住宅を建築しても、その効果は半減してしまうからです。

また、震度6以上の地震の時には柱や梁が抜けてしまう現象がよく起こります。柱や梁が抜けてしまうと、建物が倒壊しやすくなりますので、これを防ぐために、金物で柱同士や梁同士を固定して、抜けないようにすることが義務づけられたのです。

まとめ

いかがでしたか。住宅の耐震性は時代とともに、進化してきています。住宅選びの際には、その住宅の間取りや外観だけでなく、耐震性がどの程度なのかを気にすることも大事です。
特に中古住宅を買う時には、将来的な災害を意識して耐震性を判断できるようにすると良いでしょう。

耐震性能だけで決まらない!住宅倒壊を左右する「地盤」について

地震という災害の多い日本においては、建物に耐震性があることが求められます。一方で耐震性はあくまでも建物の性能であり、その建物の建つ地面に関してはあまり注目されていません。しかし、いくら耐震性が優れていても地面の状態によっては、倒壊するリスクが高いといえます。災害に強い建物を作る場合には地面にも注目する必要があります。

住宅の倒壊リスクを高める地盤について

建物が倒壊してしまう理由としては、建物の耐震性があります。耐震性が弱ければそれだけ揺れに対する建物の強さが低下し、揺れによって建物が倒壊してしまいます。一方で耐震基準では、あくまでも建物の耐震性が重視されていますが、実際のところ建物がいくら頑丈にできていても地盤が弱ければ倒壊のリスクが高まります。
地盤が弱いことによるデメリットとしては、地震などの災害のさいに揺れが増幅したり沈下するといったリスクが増えますし、また洪水などの際には地盤が流れてしまって沈下するリスクが増大することになります。

地盤調査はどうすればよい?

実際の地盤状態は見た目にはわかりにくいものです。もちろんある程度、地域の地質によってその状態は知ることができますが、実際に建物が建っている場所がどのような地質であるかは変わってきます。特に盛土によって造成された地域では軟弱なケースが多く注意が必要です。
これらを調査するためには専門の調査会社を使って調べてもらう必要があります。調査は総合的に行われもとからの地図や航空写真などからその地域の地質を調べ、またボーリングを行い地中の土質などを調べることで見えない土の中の状態を把握することができます。

耐震性の3つのポイント「地盤」「基礎」「構造」

災害に強い家を建てる際には、建物の耐震性だけでなくその建物が建つべき地盤を強化することが大事です。これは建物(構造)を支えるのが基礎であり、基礎が乗るのが地盤であるためです。
現在では建物は木造であっても耐震金具などを使えば優れた耐震性を持たせることができますし、基礎も現在ではベタ基礎と呼ばれる、建物が乗る部分のすべてが鉄筋コンクリートで出来ているものになり非常に強固です。しかし、肝心の地盤が弱ければ建物が傾いたり、最悪の場合には倒壊してしまうリスクを増大させます。このため強い耐震性を得るためにはこの3つを複合的に強化することがポイントになります。

まとめ

現在の日本における建物の耐震性は世界的に見ても非常に優れたものです。しかし、地盤に関しては見えない場所ということもあり、あまり注目されていません。建物を建てるさいには地中の状態も知ることが災害に負けない強い建物を作る上で重要なポイントになります。

何でわかる?建物の耐震性の調べ方

住宅や建築物は年数が経つと劣化して来ますし、建物の基礎回りや外壁に亀裂が入ることもあります。そうなると大きな地震が起こった時に倒壊しないのだろうかと心配にもなります。
家族の人数が変わったり、機能性が変化したりするとリフォームを検討することもありますが、そのような際に地震が起きると色々心配も出て来ます。

築年数から耐震性を調べるには

耐震性は現在の建築基準法に適合していることが求められます。しかし長年の間には地震の経験もしたりして建物自身が弱くなっている可能性もあります。

住宅を含む建築物の耐震性については過去1981年にそれまでの旧基準から新しい新基準と呼ばれるものに改正されました。それと2000年にも建築基準法の一部が改正され新基準になっています。

図面とか建築確認申請の図書があればこのうちのどの時期に建設されたものであるかが分かります。しかし1981年から2000年の間に建設されたものであっても耐震性が満たされてないものも中には見られます。

建物自体の耐震性を調べるには

建物自体の耐震性については、一戸建て住宅の場合には建物の基礎回り、外壁の状況がまず観察されます。そして土台などはシロアリなどに荒らされていないかチェックされます。次に平面の間取り図があれば、図面通りに施工が行われているかどうかがチェックされます。

平面において地震の力を負担する耐力壁と呼ばれる壁が縦横方向共にバランスよく多く入っているかどうかの壁量がチェックされます。1階部分が柱ばかりで壁のないピロティと呼ばれる構造の場合は危険と判断される場合があり、その場合には何らかの補強が必要となります。

耐震等級で判断するには

住宅の構造の安定性の目安となるものに住宅性能表示の耐震等級という指標があります。これは建築基準法で決められた通りに施工を行ったものは等級1、建築基準法の1.25倍の強さの場合は等級2、建築基準法の1.5倍の強度を持つ場合には等級3という3種類の耐震等級が定められています。

これを構造計算を行わずに判定する場合には等級1の場合は建築基準法の規定以上に壁量を追加することで満たされます。その他の等級では壁量計算で必要な壁量は各階の床面積に地震用の壁係数を掛けたものが必要とされ階数によっても違って来ます。そして地震時と台風時のうちの安全側で決められます。

まとめ

いかがでしたか?住宅も年月とともに劣化して来ますし、自然災害の規模もこのところ大きくなって来ています。
建築基準法もこれらのデータをもとに法改正が行われて来ています。築年数が長い物件は地震の際に災害を受ける可能性もあり、その際は耐震診断を受けると対処法が見つかることもあります。

説明できますか?「免震」と「耐震」と「制震」の違い

日本は自然災害とりわけ地震災害が大きな国です。近い将来に来るであろう東南海地震に備えて現在訓練を始める地域もあると聞きます。大きな地震では津波を引き起こすことも多く、家屋の倒壊のニュースも入って来ます。
これまでの災害状況の資料を基に耐震基準が見直され、近いものでは1981年と2000年に建築基準法が改正されています。

「免震」「耐震」「制震」どう違う?

地震に対する耐震性はまず人命に支障がないように建築基準法でその必要とされる規準が決められています。内容としては平面的に縦横方向に耐震壁がバランスよく配置され、柱は梁、床が一体として地震力に対抗するように固められています。木造の場合はアンカーボルトによる基礎と土台、躯体は筋違や金物、金具で緊結される構造になっています。

制震とは建物の一定の階にダンパーを設置してその揺れを吸収する方法です。免震とは建物の最下階において建物と地盤との間に積層ゴムを挟むことで建物の揺れを軽減させる方法を言います。この2つの方法は高層建築物でとられる手法として知られています。

建物の安全性が一番高いのは?

耐震構造が地震に対しては中心的な役割を持ちます。従ってこれなしに他の2つの工法だけを取り入れても意味はありません。地震が発生した場合には高層建物の上階になるほどその固有周期は長くなり、生活者にとっては揺れが治まるまで気持ちの悪い状態になります。

免震工法であれば地盤と切り離されて揺れが一体的に最下階において移動するだけですので上階まで影響をほとんど与えないものです。この工法は比較的に新しく開発された方法で基礎部分に免震装置と呼ばれるものが設置されてその役割を担うものです。ただ後から設置できないのと費用が高くつきます。

気になる「免震装置」とは?

免震装置はアイソレーターとダンパーで構成され、アイソレーターは周期の短い揺れを長い周期の揺れに変える役目を持ち、ダンパーは建物の揺れを静止させるエネルギー吸収の役目を持っています。

アイソレーターは重い建物の重量を支え、これには積層ゴム系のものとすべり系の2種類あります。この中にはダンパーの機能を備えたものもあり2つを兼ね備えたものはハイブリッド型と呼ばれます。4秒から5秒という画期的ともいえる長周期化を実現しているものもあります。すべりによる摩擦がダンパーの役目も兼ねるのでダンパーは必要なく安上がりとも言われています。

まとめ

大きな地震に対して有効なのはまず耐震性であり、その次に地震の揺れに対しては免震装置が揺れを吸収しますので有効とされます。そして制震工法は高い建物の中間の階に設置された制震装置によって揺れを吸収することで全体的な揺れを軽減することができるようになっています。

地震大国日本に必要な「地震に強い家」とは

災害の多い日本列島の中でも、地震災害は生命と財産を一瞬にして奪う恐ろしいものです。地震による被害のほとんどは建築物の倒壊によるものです。日本で家を建てる場合は、地震に強い家とする必要があります。地震に強い家の要素は、形、柱、壁、補強に分かれ、それぞれに耐震性を高める仕様や方法があります。

地震に強いとされる住宅の形は?

地震に強い家は形のバランスの良い家です。平屋であれば、出っ張りや引っ込みが無く、2階建てであれば、総2階ではなく、下屋を持った家です。出っ張りや引っ込みのある不成型な家は、地震の時にねじれが起きやすく、耐震性が弱い家です。

2階建てでは、2階部分を支えるための下屋がある建物の耐震性が高く、支えの無い総2階は低いと言えます。さらに、2階建ての吹き抜け部分は地震の時に不利に働きます。

地震に強い柱を建てるには

地震に強い家は柱の太い家です。昔の日本の民家は、太い柱と太い梁を何重にも組み合わせて作られていました。そのために建物が十分に硬く接合され、柱の曲げ強度だけで地震力に抵抗していました。筋違いがなくても耐震性が維持できたのはそのためです。

現代の木造軸組工法は太い柱や梁は用いられず、筋違い等の入った耐震壁により耐震性を確保しています。それでも、地震被害に遭う住宅は柱が細く、被害を免れる住宅は柱が太いことが専門家の調査によりわかっています。

地震に強い壁とは?

地震に強い家は壁の多い家です。壁でできた2×4住宅は地震に強い特性があり、鉄筋コンクリート造でも、柱と梁による構造よりも、壁式構造の耐震性が高いことが知られています。

木造軸組工法は建築基準法で最低限度の耐震壁の量が定められています。しかし、想定外の大きさの地震が起こった場合や、繰り返しの巨大地震に対して最低限度の壁量では不安です。耐震性を高めるためには建築基準法に定める1.5倍の量の耐震壁が必要です。

知っておきたい!地盤調査から地盤改良の対策までの流れ

住宅を建てる場合、地震災害の被害を減らすために地盤調査が行われます。軟弱な地盤に住宅を建てると、不動沈下や揺れの増幅など様々な悪影響が起こってしまいます。軟弱な地盤は住宅の耐震性を弱めるので、地盤改良が必要となります。地盤調査を経て地盤改良が行われるまでの一連の流れを知っておくことは、土地の所有者にとって必要です。

1.地盤調査~方法と内容

住宅の地盤調査は、通常、スウェーデン式サウンディング試験によって行われます。この調査はボーリングのような本格的な調査ではなく、簡易的な調査として位置づけられています。

調査はネジ状のロットを回転させて地面にねじ込む方法で行われ、25㎝ねじ込むのに要した回転数により地盤の状況を判断します。住宅の販売業者に加入が義務付けられている住宅瑕疵担保保険においては、敷地内で4か所以上の調査が必要とされています。

2.調査結果の分析

スウェーデン式サウンディング試験の結果は、最終的にN値という値に換算され、その値を元に地耐力が算出されます。通常の2階建て木造住宅の重さは、1㎡当り3t以下です。地耐力が1㎡当り3tを上回れば、地盤改良の必要はありません。

地耐力はN値から算出されますが、土の種類により、N値から求める地耐力に違いが生じます。また、地耐力が3t以下の層が建物の基礎からどの位置にあるかや、層の厚さも地耐力の決定に影響を与えます。

3.建築会社からの報告~説明される内容

建築会社からの報告されるのは、スウェーデン式サウンディング試験の結果を元にしたN値と、そこから算出される地耐力です。N値と地耐力を根拠に地盤改良が必要かどうかの報告がなされます。

スウェーデン式サウンディング試験の結果、地耐力が3t以下の場合は、何らかの地盤改良が必要となり、その方法が検討されます。もし何らかの対策を行わなければ、地震災害での被害に遭いやすくなるだけでなく、建築確認申請や住宅瑕疵担保保険などの手続きが滞る事態となります。

耐震等級が高いと安全?耐震性とは

住宅の耐震性は建築基準法により定められています。木造の場合は壁に筋違い等を入れることで耐震性を高める規定です。

しかし、近年の大規模な災害においては、建築基準法の規定だけでは建物が持たないことも知られるようになりました。国は建築基準法とは別に住宅性能表示制度を設け、災害にも耐える基準となるような耐震等級を定めています。

「耐震」とは?

耐震とは建築物が地震に対して耐える性能のことです。従来より日本の建物は、大きな地震を想定してつくられてきました。日本の建物は、諸外国の建物に比べて高い耐震性を持っています。

耐震基準を定める建築基準法は、大地震で得られたデーターを元にした研究を踏まえて、改正を繰り返してきました。木造住宅の場合は現在の筋違いの基準だけでは必ずしも十分ではないことも判明し、建築基準法とは別に基準が定められました。

耐震等級1・2・3の違いについて

耐震等級は住宅性能表示制度に規定され、等級1は建築基準法が想定する地震に耐える耐震性を持ち、等級2は建築基準法が想定する地震の1.25倍、等級3は1.5倍の地震に耐えうる基準となっています。

木造住宅の耐震に対する考え方は壁を多く設ける点では変わっていませんが、等級2と等級3は、床の剛性を高め、建物を一体化することにより耐震性を高める考え方が採用されています。等級3は、これまでの地震で大きな被害は報告されていません。

耐震等級を選ぶポイント

耐震等級は任意の規定で、自由に等級を選ぶことができます。選ぶ場合のポイントは予算の有無、地震の発生が予想される地域かどうか、地盤の良し悪しなどにより判断されるものです。

新築を建てる場合は、建築基準法の規定である等級1を超える等級を取得するか、同等の仕様による耐震性の確保が望まれます。等級1は近年日本列島で起きている巨大地震において、かなりの被害が出ていることを認識し、自ら防衛手段を講じることが求められます。

あなたの自宅は大丈夫?耐震化が必要な理由は?

兵庫県南部地震や東日本大震災など、日本列島は大きな災害が続いています。自宅が同じような地震に見舞われた場合、はたして大丈夫かどうかは住み手の最大の関心事です。

現在すでに建っている全ての住宅が地震に対して安全なわけではありません。自宅の耐震性を正確に評価し、適切な耐震化を行うことが災害の被害を減らすために必要です。

建物の耐震化が必要にされている背景は?

建物の耐震基準は建築基準法と関連する規則等に定められています。建築基準法の耐震基準は、大きな地震が起きるたびに改正が行われてきました。現在の基準は大きな地震が起きた場合でも、建物に人命に関わる被害が出ないように作られています。

新耐震設計基準が施行された1981年以前の建物や、接合金物の規制が強化された2000年以前の建物の中には、現在の建物と比べて耐震性が弱いものがあります。これらの建物を耐震化することで、大地震に備える必要があります。

耐震改修促進法について

耐震改修促進法は耐震性の低い建物の耐震化を促し、国民の生命と財産を守ることを目的に制定された法律です。耐震改修促進法は2013年に改正され、不特定多数の人が利用する建物や避難に配慮が必要な人が利用する建物の内、大規模なものに耐震診断と結果の公表を義務付けました。

耐震改修促進法では戸建て住宅などの小規模建築物についても、耐震診断と必要な耐震改修が努力義務として規定されました。自治体においてさまざまな助成措置が設けられ、耐震化がしやすくなりました。

耐震改修の内容は?

耐震改修は耐震診断を元に、建物の弱い部分を補強し、必要な耐震化を行う改修です。その方法は建物の現在の耐震性により異なり、さまざまな方法が用いられます。

木造一戸建ての耐震性を高めるためには、耐震壁の増設が必要です。新たに筋違いを設置する他、構造用合板や耐震ボードの設置により耐震性を高める方法も用いられます。地震の力を吸収する制振装置や、補強金物の設置も耐震化に効果があります。