建築物を建てる場合は地盤が建物の重さを支えるだけの地耐力を有している必要があります。もし、所定の地耐力が得られない場合は、地盤改良工事により地耐力を確保し、建物の耐震性に影響を与えないようにする必要があります。地盤調査は災害による被害を未然に防ぎ、建物の安全性を確保する基本となるものです。
地盤改良工事が必要な場合は
弱い地盤は建物の耐震性にも影響を与え、災害時の被害を大きくします。建物は地盤が弱い場所には建てないのが原則です。しかし、事情により建てなければならない場合は地盤改良工事を行う必要があります。地盤改良の前提として地盤の地耐力を知る必要があり、地耐力は地盤調査により求められます。
地盤改良工事が必要なのは、地盤が建物を支えるだけの地耐力を持たない場合です。木造の戸建て住宅では、重量が1㎡あたり2tを越えることはありません。1㎡あたり2tの地耐力があるかどうかが、地盤改良工事を行うかどうかの目安となります。
表層改良工法について
表層改良工法は地表から2m以内の軟弱地盤を改良する方法です。地表から2m以内に、所定の地耐力を持った支持層があることが前提で行われる方法です。軟弱地盤を改良し、その下の支持層と一体化させる方法です。表層改良工法により強化された地盤では、建物の耐震性も増すことになり、災害における被害の防止に役立ちます。
表層改良工法による地盤改良工事は、軟弱地盤を入れ替える訳ではなく、固形剤と混ぜ合わせて強度を増すものです。無駄な廃土を出さずに済み、費用も比較的安く済みます。表層改良工法は支持層が傾斜している場合は使うことができません。
柱状改良工法について
地盤改良工事の中でも柱状改良工法は、支持層が比較的深い場合でも使える工法です。表層改良工法は建物が建つ地盤前面を改良したのに対して、柱状改良工法は柱状のコラムを必要な間隔でつくっていくものです。柱状のコラムはセメントミルクが混入され、土と一体化されて形成されます。
柱状改良工法は形状が柱状なため、杭基礎と同じような役割をはたします。通常の地盤改良工事は支持層が必要ですが、柱状改良工法はコラムの摩擦により耐力を期待でき、支持層が深い場合でも適用が可能です。地盤改良をどの工法で行うかは地盤調査により地盤の状態を確認した上で行われます。
まとめ
地盤調査の結果、改良が必要と判断された場合に行われる地盤改良について理解いただけたでしょうか。建物は地盤が良い場所に建てることが基本です。地盤改良により地耐力が確保されても、軟弱地盤は地震の揺れを大きくする働きがあります。軟弱地盤に住宅を建てる場合は、筋違い等が多めに必要です。
地盤調査は建物の耐震化の前提です。弱い地盤は補強が必要で、補強では済まない場合は、敷地の変更も考慮しなければなりません。建物は地盤の上に立つものです。地盤が悪い状態のままでは、建物の耐震性だけを高めても意味がありません。
ボーリング試験は本格的な地盤調査で、大型の鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建物を建築する場合は必ず行われます。戸建て住宅の場合でも、特に地盤が悪いなどの特殊な状況の場合は、この試験が行われます。
宅地開発が行われ造成されてもある一定の雨期を含む時期を置かなければ地盤は固まらないとされています。これを急ぐと上記のような場所では不同沈下が起こり、家を建てても場合によっては住み替えを行わなければならなくなります。
地盤調査報告書についてはまず担当技術者者が現場からデータを送信して地盤調査データを作成します。換算qa値や換算N値、推定柱状図、グラフなどの数値の調査結果から地盤判定技術者が土地について地盤改良が必要か不要かを過去のデータベースと照らし合いながら多角的見地に立って判断します。
住宅の地盤調査は、通常、スウェーデン式サウンディング試験によって行われます。この調査はボーリングのような本格的な調査ではなく、簡易的な調査として位置づけられています。
建築会社からの報告されるのは、スウェーデン式サウンディング試験の結果を元にしたN値と、そこから算出される地耐力です。N値と地耐力を根拠に地盤改良が必要かどうかの報告がなされます。